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研究開発領域 ステレオコンプレックス繊維複合体を用いた 高弾性率生体吸収性骨固定材の開発と創製

現在臨床使用されているポリ-L-乳酸(PLLA)製骨固定材における課題を克服するため、機械的強度に優れた骨固定材の開発に取り組んでいます。
研究開発中の技術は、PLLAをマトリックスとし、ステレオコンプレックス結晶(scPLA)にした繊維による新たな複合体を用いて治療初期に必要とされる力学的性能を満たし、よりヒトの骨の強度特性に近似させた材料の開発を行うとともに、患者様のQOL(Quality of Life)向上に貢献する“高強度・高弾性率で骨親和性の高い、生体吸収性骨固定材”です。

PLAのステレオコンプレックスとは

PLAのステレオコンプレックスは、1986年に当社の代表取締役社長の玄丞烋らのグループにより、世界で初めて発見されました。
PLAのステレオコンプレックスとは、鏡像異性関係(右手と左手の関係)にあるL-乳酸のみからなるポリ-L-乳酸(PLLA:poly-L-lactide)とD-乳酸のみからなるポリ-D-乳酸(PDLA:poly-D-lactide)を均一にブレンドし、それぞれが形成するらせん構造がうまくかみ合うことにより生じる2成分の複合体を指します。
ステレオコンプレックスの融点は約230℃であり、PLLAやPDLAの融点(約180℃)よりも約50℃高く、耐熱性の高い樹脂となることが知られています。
また、「耐熱性」だけでなく、「力学的特性」や「耐加水分解性」が上昇し、更には、PLAの結晶化の核剤としても有効であることから工業的に大変注目されており、現在では工業用繊維として世界的に広く普及されています。

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